vol.083 授業の質で選べるか？

よくお客様からこういうお問合せをいただきます。

「授業内容の良い大学を紹介してほしい」
「授業の質が高い大学に留学したい」
「教員の質の高い大学はどこか」



う～ん。
これね、スーパー難問なんです。

はっきり言って、
この基準で大学を選ぶのは無理です。




まず、授業内容。
つまり、カリキュラムです。




私、今まで数百大学のカリキュラムを見てきました。
一般的な日本人が入るのは初級か中級クラス。

このレベルのクラスって、
どこもほとんどカリキュラムが同じなんです。



まず、科目ごとの週あたりの時間配分。

●総合：6～10コマ
●会話：4～6コマ
●聴力：4～6コマ
●閲読：2～4コマ

これに下位クラスだと漢字が、
上位クラスだと作文が2コマ前後入って、
週合計20コマ。

どこもほとんど同じです。



次にテキスト。
例えば文法の場合、

●漢語教程シリーズ（北京語言大学出版社）
●発展漢語シリーズ（北京語言大学出版社）

8割方の大学がこのどちらかです。



時間配分も大差ない。
テキストもどこも同じ。

これで教員の力量だけで違いを出せるか？
ちょっと無理がありますよね。



なので、カリキュラムで大学を選びたい、
その気持ち自体はよく理解できるのですが、
現実問題としては非常に難しいんです。




次に教員の質について。



確かに、教員ごとの質は違います。
教え方の上手い教員、下手な教員、
経験豊富な教員、浅い教員、
それは確かにあります。



でもね、
みなさんが中学、高校のときを思い出してください。

同じ数学という科目でも、
教え方の上手い先生、下手な先生、いたでしょ？




中国の大学だって同じです。


20年のベテランもいれば、
大学を出たばかりの新人だっているんです。
当たり前ですよね。




なので、教員の質で大学を選ぶ。
これは現実問題として不可能です。




確かに留学情報サイトの中には、

「○×大学…教員の質に自信あり！」

なんてことを書いてます。



「○×大学は先生がみんな教え方うまいですよ～」

なんてことを言うカウンセラーもいます。



そんな人たちには、
ぜひ、聞いてみてください。

「その根拠はなんですか？」
「○×大学の教員は何人ですか？」
「そのうちの何人の授業を実際に聞きましたか？」
「何を基準にうまいと判断されましたか？」
「来学期もその先生は○×大学に在籍してますか？」

すべて明確に答えられる人はいないはずです。
私自身、絶対に答えられません。



各大学について、
毎学期すべての教員の授業を複数クラスで受講し、
それをすべての大学について行い、
その上で客観的基準でポイント制で評価する。


そこまでしない限り、
教員の質で大学をおすすめすることはできないはずです。


大学をおすすめするって、
そんな軽い仕事じゃないですから。



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【今週のまとめ】
1) 大学のカリキュラムに大差はない
2) どんな大学でもベテラン教員もいれば新人もいる
3) カリキュラム、教員で大学を選ぶのは無理
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